ハラタケ目・フウセンタケ科・フウセンタケ属
Cortinarius nigrosquamosus
カサとヒダに黒色の繊維状鱗片があるのが特徴の広葉樹下に発生するキノコ。図鑑では「秋」とされているが、初夏にも発生するようだ。今回の採集で2株も見つけた(うち1株は幼菌)ので間違いないだろう。
オニイグチとは殆どカサ裏の違いしかないのに、あまり図鑑に載っていない可哀そう。「山溪カラー名鑑 増補改訂新版 日本のきのこ」では広葉樹下に発生するがややまれと記載されている。
ただ気になる点が1つある。原色日本新菌類図鑑に記されているヒダの色が”肉桂色”であり、採取した個体と相違している。胞子紋が褐色系であるため、黄土色+胞子色=肉桂色となっているのかヒダの色自体が肉桂色なのか判断できない。乾燥した状態を確認すると肉桂色に見えなくもない。
各部位を観察する
カサ
- 径6㎝、まんじゅう形のち殆ど平らに開く。
- 表面は淡黄土色で、黒色のささくれ状鱗片をそなえる。
- 鱗片は中央部ほど逆立ちトゲ状になっている。
- 香りが強い。個人的にはいい匂い。
ヒダ
- 直生でやや疎。ヒダ幅は5㎜、黄土色。
- 胞子紋は褐色系。
柄
- 9㎝×0.8~1.4㎝、繊維質で棍棒形である。表面はカサと同色で黄土色。
- クモの巣状のツバをそなえ、ツバから下部に黒色の繊維状鱗片を纏っている。
- 基部に白色の微毛が密集している。菌糸束あり。
- 中空。肉色は同色。
幼菌
- まんじゅう形。クモの巣状を纏っている。