イグチ目・クチベニタケ科(IF)・クチベニタケ属
Calostoma japonicum
マメホコリと似ているフォルムだったので変形菌だと思っていたら、まさかまさかのイグチ目のキノコだった。手持ちの書籍図鑑で別のキノコを探しているときに偶然クチベニタケのページを開いたことで同定することができた。広葉樹付近の地面や斜面に発生するキノコで、頂部には唇のような紅色の孔口があるのだが、今回発見したのは役目を終えた老菌だったようで胞子の抜け殻が飛び出ていた。
日本では普通種だが海外ではたいへん珍しい種らしく、学名もCalostoma(美しい口) japonicum(日本の)という意味になる。また、国際菌学会(MB:MycoBank)ではニセショウロ科となっている。
各部位を観察する
頭部
- 灰褐色。類球形で1cm×1cm。パッチ状の鱗片がある。
- 乾燥時は木の実のように硬いが、見かけによらず脆い。水分を含むと柔らくなる。
- 頂点が紅色で、成熟すると裂けてグレバが飛び出る。
菌糸束
- 軟骨質で半透明のやや黄色。乾燥すると硬くなり、褐色を帯びる。
- 根のような形状で十数本の束になっている。
断面
- 若いときは胞子が詰まっている。成熟すると頂点に孔が開いて胞子が放出される。
- 胞子放出後は中空。外皮は3層からなる。